改革すること

1973年に海文堂書店を任され、1984年に元町場外馬券売場の反対運動に引き込まれて、神戸の文化や街と関わりながら30年以上にわたって様々な改革に関わってきました。
欠点・短所などを改めてよりよくすることは改良。改革とは根幹を問うことで、時には体制そのものも変えようとすることだと思います。
その問いなしに弊害を取り除くことは出来ないのですが、たいていはそこに手を触れることなく、ベターの選択で良しとします。そこには少しの保身があるのですが、さらに踏み込めば強い抵抗を受け、返り血すら浴びることになります。
私が様々に託されてきたことはいつも改革だったのですね。
革命であれば権力を奪取するのでしょうが、それは私の役割ではありません。

改革で拓いてきた土壌に種が蒔かれ、芽を出し、木が育ち、林となります。そこに宿った命はそれぞれに固有のものとして成長していきます。それを見守っています。

耕してきた土壌から確実に新しく生まれるものや、取り組む人たちが見えます。
そして育ち、遠くまで繋がり、そこで着床し、また生まれるものがあります。
幾層もなす歴史の襞を織り直し、新たな息吹のもとで日々を刻むこと。
そこから次世代や次々世代が担う創造の可能性が見えてきます。

神戸の震災から22年を迎えます。その時に取り組んだ「アートエイド神戸」が、東日本大震災へと繋がり「アーツエイド東北」が生まれました。
25年前に亀井純子さんから託されたことがフロントランナーとして市民メセナを拓いてきました。公益信託「亀井純子基金」から公益財団法人「神戸文化支援基金」です。
5年前に仙台で加川広重巨大絵画「雪に包まれる被災地」に出会い、東北と神戸を繋ぐプロジェクトをKIITO(デザイン・クリエイティブセンター神戸)で3回開催。昨年3月、モンターニュ・オー・ペルシュ市(フランス)でこのプロジェクトが開催。昨年の7月には2015年の「フクシマ」の記念碑的な記録集を刊行しました。
今年3月には、福島県白河市「白河文化交流館コミネス」で加川さんの第4作「飯舘村」を舞台に開催されるプロジェクトに参加します。
神戸ビエンナーレが5回で終了しました。その時、様々に言われたことがあります。
代替案はなにか、ビジョンはなにかと。
まずは疲弊した土壌を拓き、蘇らせることでした。そこに必ず新しいものや、ことが生まれるということは分かっていました。

今、その形が見えてきました。楽しみです。
その一つが新しいプロデューサーの誕生で、それは椿 昇さんのようですね。とてもいいです。
そしてKIITOの革新です。
KIITOの新しい可能性について、藤野一夫(加川プロジェクト実行委員長)さんは「多彩なパフォーマンスを交響させる『総合芸術』に挑戦した」と前説の記録集に書きました。
これに触発されるように、昨年12/24・25に「KIITO実験展—彫刻と身体による空間の再認識、再検証。《波動》」が刺激的な実験展を開催し、その潜在的な可能性を顕在化しました。
また、今夏、KIITOを会場とする国際的な展覧会が計画されていますが、私たちもそれに関わっています。次号をお楽しみに。
大切なことは「拓いていく」ことによって「拓かれたもの」を生み、連鎖してゆくことだと思います。大地を拓いたときには思いもしなかった森を成すのです。