愛と魂の美術館

岩波書店の編集部から小包が届き、中から立派な本が2冊でてきた。立川昭二さんの「愛と魂の美術館」だった。ようやく思いだした。ずっと前に石井一男さんの作品写真の使用を許可したことを。私は参考図版くらいに思っていたのだけど、なんと54人の画家を紹介しているが、その最後に置かれたのが石井一男さんなのです。立川昭二「愛と魂の美術館」は古代から現代まで、日本と西洋の美術作品54点に着想を得ながら、人の「いのち」について考える随筆集。誰もが知る名画も、生老病死の文化史的考察を長年行ってきた著者が読み解くと、ひと味違う魅力が浮かび上がってきます。石井さんが最後に置かれているのは、著者がこの本で書きたいと思った主題「美術作品は本来人びとの祈りや癒しのために生まれ、そして表現者たちの創造への執念や無垢の感動から生まれたものであり、したがってそれらは人の生き死にそして愛や魂にかかわる人間の営みそのものだったのである」を象徴する作家として選ばれ、最後に置かれているのです。


石井作品が「最後に見る絵画」つまりエンディング・アートに選ばれるのはバッハの音楽と同じように、純粋で無私無心な絵画であるからではないか。(『奇蹟の画家』)この後藤さんの言葉を受けて立川さんは

生のさなかにある私たちも、この「女神」をじーっと見つめていると、いつのま にか自分を死の側に置いた境地になり、生きていくための現世的な祈りは遠くかすんでゆき、宇宙的な無心の祈りへと静かに移行し、両腕がわれ知らず寄せ合わされていくのである・・・。

と、この本を結んでいる。

石井さんの第3画集は「女神」と題し、石井さんの近作の女神を中心に編んだ。ギヤラリー島田での個展は12月1日(土)から12日(水)までです。 立川昭二「愛と魂の美術館」はギヤラリーでも販売しています。また「奇蹟の画家」(後藤正治)が講談社文庫から11月15日に発刊され、電子ブックにもなります。文庫版の解説は、下記の作家往来にも登場する白石一文さんです。