下した荷物と摘んだ荷物と

なにか体調がすぐれない日が続いている。 時はどんな人にも等しく秒を刻む。しかし物理的時間を越えた濃淡や強弱がある。 時間を追い越すように生きてきて、休止も余白もない常動曲のような日々。昂ぶった神経にうっすらと皮膜が取り付き硬化した疲れが取れない。
宮城県山元町の粉雪舞う浜辺で立ちすくみ、寄せては散る白い波頭が寸刻も同じ姿を止めず、じっと見ていると身に沁みて無常を感じさせられ、取り憑いて離れることがない。

「芸術文化における復興支援策」(災害対策全書)の執筆にはじまり、「1・17」「3・11」「アーツエイド東北」の立ち上げ、そして日本ではじめての市民メセナによる公益財団法人「神戸文化支援基金」の設立。「絵に生きる 絵を生きる」の出版と、息をつく暇もない日々だった。
 でもまもなくその一年も終わる。
皆さんの見守りと励ましと変わらぬ志縁によって、なんとかここまで来ることができました。そして、まだ見ぬ明日へと共に一歩を記したい。

68年の日々を振り返れば、様々に寄航した航跡が見える。下ろした荷物と積んだ荷物。その荷物の重さに老朽船の喫水線は危険域にあり、エンジンは喘いでいるが漂流したり、座礁するわけにはいかない。

2012・1・17は竹下景子さんの朗読とコンサートが神戸での最終回となる。竹下さんの1・17に取り組む姿勢から多くのことを学んだ。女優としてではなく、一人の人間としての佇まいの美しさを。それに応えようとしてきたが、ふり返ってどうだったのか。 この最後の1・17はホールを埋め尽くして感謝を伝えるとともに、困難な闘いの中におられれる東北の皆様へと思いを馳せ、3・11にこの会を「アーツエイド東北」へと繋いで行きたい。みなさんとご一緒に。

11月26日、27日には「こどもから考えるケアとアート 大震災を経て アートミーツケア学会2011」(京都造形芸術大学)でのクロストークに登壇する。ぼくには難しいテーマだが「こどもから学ぶ=純な志もとめて」といった話しが出来ればと思う。

12月3日(土)ラジオ深夜便の早朝4:00から45分間「明日へのことば」で話します。 西橋正泰アナウンサーとの対話、「震災とアート」と「絵に生きる 絵を生きる」の本についてです。

人と防災未来センターの企画展『3・11の声 1・17からの手紙』にビデオ出演しています。 12月20日(火)~2012年4月15日(日)(予定)人と防災未来センター西館2Fです。 聞き手は岡愛子さんです。