「神戸ビエンナーレ 再々」

 前号で、神戸ビエンナーレの訳の分らない対応について書きましたが、当事者から、一応の妥当な決着をみたとの報告を聞きました。それは軟着陸といえると思います。私自身が当事者でないので、相変わらず奥歯にものが挟まった言い回しで申し訳ないのですが、お許し下さい。

雪化粧

 「ちいさく踊りながら、始まりの見えない上の方から空よりも雲よりも、もっとすぐそこで生まれたばかりのような雪の子どもたちが、ためらうように踊るようにじゃれるように降りてきます。裏山は雪化粧、緑の木々は雪帽子」とメルマガに書いたのが2月11日。その三日後。ぼくは久しぶりに休みで、暖炉の火を眺めながら本を読んだり、時間が許すときに少しずつ見ている加藤周一さんの「日本 その心とかたち」(DVD全5巻10集)を見たりして昼前にギャラリーに顔を出し、少し仕事をしました。その頃から雪が降り続き、じゃれるどころではなく、急ぎ足で、白い絵具をドバッと地上に重ねるように降り積もり始めました。 街に出てようかという思いを捨てて、ギャラリーに置いていたアウトドア靴に履き替えて我が家への急坂を踏みしめるように登ったのでした。なにしろ最後の数十mが北野きっての急坂難所ですから。久しぶりの外食も諦めてまた、おでんと讃岐うどんにとろろと卵をかけた夕食を済ませ炉辺読書に戻りました。みずのわ出版の柳原一徳さんが送ってくれた きれいな本を読み始めました。

もっと気楽にお願いします

 本のタイトルが「もっと気楽におねがいします」なのですが、この通信の読者から、私に言われているような気がします。はい。気楽にね。著者は秋野癸巨矢(きくし)さん。大好きな日本画家・秋野不矩(ふく)さんの長男で2008年11月7日に亡くなられたのですね。そのお名前で閃くことがあり、驚きました。乾千恵さんが最近出された絵本「たいようまで のぼったコンドル」(福音館「こどものとも」)の絵が秋野亥左牟(いさむ)という変った名前で記憶にあったのだけど、不矩さんの次男、即ち秋野癸巨矢さんの弟だったのです。乾千恵さんはギャラリー島田での2004年の坪谷令子さんの個展で紹介されて、乾さんの書(福音館「月・人・石」)の素晴らしさに心を打たれたのです。障害を持っておられて来ていただくことに躊躇するこの建物の構造のせいもあって、もっぱら文通なのですが、乾さんの未刊行のものも含めて読ませていただいているのです。10年がかりで完成したアンデス・インディオの少女とコンドルとの愛の物語をアンデスの子どもたちに読ませたい、絵本を贈りたいというプロジェクトに私も協力しているのです。そこに「もっと気楽におねがいします」の本が届いたのです。この標題は、病床にあった癸巨矢さんが看病疲れを心配して、友人に頼んで奥さんにメールした言葉に依っています。

初めてのギャラリーオークション

 ささやかな目標でしたが、おかげさまで順調に楽しんでいただき、目標を十分にクリアーできました。普段来られない方との出会いがうれしかったですね。最後の財団法人「神戸文化支援基金」ためのチャリティーオークションも目標、30万円のところ¥657,500の売り上げをいただきました。その全額を基金に寄付いたします。また会期中にお客様の中須穂積様からギャラリー島田を応援する意味でと、美術部門への指定寄付百万円を財団の口座に振り込んでいただきました。ありがたいことです。