文章書きに追われる

「神戸百景」

ただでさえ自分の時間がとれなくなっているのに締め切りのある大事な原稿を抱えて焦っています。
岩波ジュニア新書「神戸 震災をこえてきた街ガイド」(2004年)を出版したときに表紙絵・挿絵に川西英さんの「神戸百景」を使わせて頂きました。半世紀も前の作品ですのにのイメージにある理想の神戸に、ピッタリしていて瑞々しさをいささかも失っていないことに驚きました。
その時に、私の持っている画集を編集プロダクション“シーズプランニング”の長谷川さんにお貸ししたのですが、神戸出身ということもあって長谷川さんが「神戸百景」の再刊の構想を温めてこられました。そして、ようやく今年9月ころに刊行の運びとなり、縁結びの私に是非、書けとなっているのです。学究的なことは書き尽くされていて出る幕はありません。川西英さんは「神戸百景」(1933-36)新「神戸百景」(1952-61)「兵庫百景」(1960-61)と3回、「百景」に挑まれている。今回は「新」の新装復刊であり、描かれた時代はまさに私の小学時代から青春時代に重なる。しかも川西さんを巡る交友から不思議なご縁を頂いているのです。そのあたりを書きたいと苦慮しています。
 結構、準備にも時間をとり、熱を入れて話しをするのですが、これが空回りをして自己嫌悪に陥ることもしばしばです。いろんな題材があるから気楽にという気にはなかなか、なれないです。

石井さんとお出会いして以来、いずれは画集を出すと約束してきました。そしてギャラリー島田の30周年の機会に、信頼する風来舎の伊原秀夫さんにお願いし、法橋淳子さんとのコンビで毎月、石井さんのアトリエへ足を運んで準備を進めています。これも9月には出版の運びとなります。 約50点の作品を選ぶために300点もの作品を撮影し、昨日、全部を並べて100点まで絞込みました。石井さんらしい、こぶりだけど味わいのある画集を作ります。
ノンフィクション作家の後藤正治さんが石井さんを書いて下さり、大きな反響をいただきました。うれしいことです。無理をして、なにかをしようというのではなく、いはば石井さんという「磁場」が引き寄せるように流れが出来ているのです。 49才までの孤独な人生から一転した後半生となりました。不思議としかいい表せないです。 出版記念展は10月4日から12日間。つづいて11月に大阪:天音堂、12月に東京:ギャラリー愚怜、来年2月に銀座:枝香庵となりました。

家事往来

昨年9月に家人が病を得て、生活は一変しました。幸い、家人は体をいたわりながら、時に辛い時期を耐え、まずまずの日常を営んでいます。その気力には驚くばかりです。それまでご飯ひとつ炊いたことがなく、洗濯機を回したこともない私が、家事のプロを自認する家内から手抜きなしの教育を受けてきました。料理は初級ながら、時々、楽しんでいます。新聞の料理レシピを切り抜いたりしているのですから、考えられないことです。でも、こうしたことが、ふと、家人がいないことを前提とした準備をしているのではないかと思ったりして複雑な思いに捉われたりします。夜の外出は基本的に封印し、面白そうなコンサート、演劇などの情報は出来るだけ、見ないようにしています。朝起きて出勤するまでの4時間の間に書斎で、物を書いたり、考えたりしてきましたので、ここにしわ寄せがきて四苦八苦しています。音楽を聴いたり本を読んだりも難しいですね。でも今まで存分にやってきました。家事をすることを煩わしいと思ったことはありません。でも食事の時にビールやワインを飲むと、ともかく眠たくて仕方がありません。それでも粘って書いています。

今もお呼び出しがかかり「急速の進歩ね」と褒め殺しされながら家事に勤しむ私です。 9月には引越しも控えています。7月9日に棟上しました。3階鉄骨造ですが、複雑な構造は島田陽(次男)の全力の設計です。家人の体力も考えて、早めに準備が始まりました。

庭の李と紫陽花

庭に樹齢30年の大きな李(すもも)の樹があります。
もう老齢で枝ももろくなり、数年前から果実もほとんど実らなくなっていました。
ところが引越しを決めてから、恩返しなのか、「行かないで」と訴えているのか
見事な果実をつけだしたのです。今年も今を盛りと赤い実が綺麗です。
朝、起きだすと棒の先に捕虫網を2,5mくらいの長さにくくりつけ、さらに梯子に上って李を取るのが日課です。ほっておくと鳥達の格好のデザートになってしまいます。鳥にあげてもいいのですが、熟れて美味しそうな果実を一突きすると、落ちて割れてしまうのです。今年は76個を収穫する予定です。

その理由は
植松永次さんの個展(5月)で、大きな壁面いっぱいに「庭になる星」と題して、ちょうど李の実ほどの丸い玉(陶)76個がランダムに並んだ、素敵な壁面を覚えておられますか?すぐさま、今度の北野の家にこの「庭になる星」を飾ることにしたのは、この李の思い出を、植松さんの作品で留めたいと願ったからです。庭には額紫陽花の大ぶりの40数輪が咲いています。美しいですね。我が家の野生化した紫陽花は2m以上の高さに咲いたものも多く、これは2階から見下ろして楽しんでいます。