肩書きのない生活

 まったく肩書きのない、個人としての存在に憧れてきた。そして55歳くらいから、着々と肩書きという上着を脱いできた。そして最後の一枚を先日、脱いだ。 10年以上務めた「神戸モーツアルトクラブ」会長を退任した。  画家さんは「これで画廊に専念してくれるやろう」、他の人は「アート・サポートの仕事を本格的にやるんやろう」、家人は「少しは家のことも考えて」。 個人というのも厄介なもので、自由な時間があるだろうと、余計に頼まれ事が多いのだ。収集がつかない。  肩書きがなくなれば、楽になるというのは、甘かった。私の「頼まれれば断れない」というこの性格こそが、忙しさの元凶だったのだ。   

文士気取りで… II

 執筆に追われている日々である。岩波書店のジュニア新書編集部から執筆依頼がきて驚いた。震災後の神戸を若い人に写真と文章で紹介する本を作るという。私の手に余る仕事で、都市民俗学の専門家で修学旅行生の受け入れに取り組んでいる旧知の森栗茂一さんを引っ張り込んで共著とすることとなった。全く違う個性で、どう纏めるか、なかなかスリルがあったが、ゴールは見えてきた。神戸の歴史を勉強し、歩いた2ヶ月でした。  あまたの「神戸本」「ガイドブック」と違う、私なりに若い人の「街を見る視点」を書いてみましたが、さて、どうでしょうか?  「神戸―震災を超えて」 11月20日発売です。みなさん、よろしく。