お金は淋しがり屋(蝙蝠日記) 4月上旬にしては花冷えで肌寒く、しかも生憎の雨にもかかわらず北野ガーデンは3 00名を超える参加者で溢れかえりました。このごろの天気予報は当たるから辛い。 この日も雨模様は避けられないと覚悟して、美しい緑の芝生のお庭を諦めて、おもて なしを室内に移し、受付、進行をスムーズに行うために前夜、喧々諤々(けんけんが くがく)の議論を重ねたのでした。
何度も通信に書いた「夜会・ぼたんの会」は、お洒落に、楽しみながら交流し、その 結果として神戸のNGO/NPOへ資金が提供されるという試みで、この趣旨に賛同 して東京から手弁当で駆けつけてくれた永六輔、灰谷健次郎、柳田邦男さんによる神 戸新聞松方ホールでのリレートーク「今 一番 言いたいこと」も600人と盛大で した。
この試みは、アートサポートセンター神戸が提唱しているMSI事業と名づけた新し い寄付の文化の提案で、昨年夏から準備してきました。 「しみん基金こうべ(黒田裕子理事長)」を中心に13の団体が協力して実行委員会 をつくり、構成団体自らがチケットを販売し、その実績に応じて50%を活動資金と して受け取ります。単なるイベントではなく、企画・連携・交流・成果配分という新 たな創造に繋がる仕組みが内蔵されていて、約300万円が活動資金として配分され ました。
こうしたお金のことに関わることは何か卑しいことのように思われたりしますが、実 は一番大事なことであり、1894年に内村鑑三が「後世への最大遺物」の講演で、 後世に残すべき第一に挙げたのも「お金」でありました。しかし、寄付とはお金に限 りません。芸を、時間を、汗を、場を、人脈を、著作権をと、それぞれが自分の差し 出せるものを「志(こころざし)」で束ねて文化を支えるのです。
 よく知られていることですが、こうした文化を支える仕組みとして、大きく三つあ ります。フランス型の国、アメリカ型の市民、日本型の企業主導であり、もちろん実 際はそれらの混合型です。超成熟社会となった日本は、企業主導から市民主導型に移 行しつつあり、文化の育成や創造に参加することは、お金の最も輝く使い方で、貴方 をも輝かせること請け合いなのです。すなわち、お任せ市民社会よさようならと自分 達の社会を自分達で支えるというプライドをもつことに繋がるのです。だいたい私達/NPOに関わる人間は艱難辛苦(かんなんしんく)ものともせず型が多 いのですが、こうした経験の副産物(利息)として、楽しみながら、気持ちよく、輪 を拡げ、新しい知識、経験を身につけ、また自分達の活動に生かしていくことが出来 れば、なによりです。
 私が書店業に従事した1973年頃の日本における出版物と競馬やパチンコなどの ギャンブルの売上高は、どちらも3兆円規模だったと記憶していますが、現在は出版 物は変わらず、ギャンブルは30兆円を超え世界一のギャンブル大国です。それに加 えてスポーツ振興のためのTOTO,地方自治体の財源のための公営カジノ論も盛ん です。この国は教育も、文化も、福祉も賭博のあがりで賄おうとするのですから、ま ことに変な国です。ここに見えるのは、この世の憂さを賭博ではらす、物事を深く考 えないように誘導された国民と、その揚がりで国や都市を経営しようという誠に発展性のない愚民政治思想です。バブルに踊って国全体がギャンブルに走り底知れぬお金を闇に捨てました。これではお金も悲しかろう。
 お金は淋しがり屋だから、ほっておけば、お金が集っているところへ寄っていって しまう。だからこまめにかまってやって、人様のお役に立つ喜びを教えて、光輝かせ てあげましょう。 ギャンブル参考データ(推定) パチンコ 26兆円 競馬 3兆6千億 競艇・競輪・オートレース 2兆4千億 宝くじ 8000億 toto 643億  この他、インターネットギャンブルをはじめ、相当なお金がギャンブルに流れてい る。(この文章の要旨を神戸新聞17日夕刊のコラム“360°”に書きました)