加川広重 巨大絵画が繋ぐ東北と神戸 2014

『雪に包まれる被災地』・『南三陸の黄金』二作品同時公開

事業概要

本プロジェクトは、「アーツ・エイド・東北」を核とした東北志縁をきっかけとして誕生し、せんだいメディアテークで出会った、加川広重の一作目の作品「雪に包まれる被災地」を、2013年3月、デザイン・クリエイティブセンター神戸において展示、アーティストの想いと多数の来場者をつなぐためのイベントも実施しました。
第2回目となる今回は、そのまま神戸で保管されていた一作目とともに、二作目の「南三陸の黄金」を展示します。
震災を題材とした、この巨大絵画は3部作として、3作目「福島」で完成される予定であり、来年以降、3作目も、仙台から神戸で展示し、その後、東京、沖縄、広島など、災禍を体験した地域での公開を検討していきます。そして、世界に向けて、とりわけ国連に向けて、例えば、ピカソの「ゲルニカ」のように、日本における巨大災害のモニュメンタルな作品として、世界にむけて情報発信していく取り組みもはじまっています。

趣旨

加川広重の巨大絵画は、東日本大震災からインスピレーションを得て描かれた、類例のない大きな作品(5.4m×16.4m)です。この作品には、宮城生まれの加川自身が被災者として震災に出会い、そこからしか生み出しえない根源的な力があり、あらゆる人に震災がも たらしたものを、時間と場所を越えて、一瞬にフラッシュバックさせるのです。
本活動は、この加川広重の巨大絵画を、同じ被災地である東北と神戸で展示することにより、神戸市民をはじめ、震災を体験した人々がまざまざと当時の記憶を呼び起こし、またこの作品に出会うことで、より多くの人々が、今、被災地で困難な状況にある人たちへの思いを真剣に共有できる場をつくっていこうとするものです。
それは、まさに東北と神戸を繋ぐアートの力であり、震災が忘れ去られていくことを許さず、単なる芸術作品の鑑賞から行動へと、今、あなたは何をすべきなのかを、人々に問いかけ、駆り立てていく、重要な意味を持っています。同時に、東日本大震災にとって福島原発は容易に解決できない課題であり、福島県立博物館館長である赤坂憲雄氏を迎え、この巨大絵画のある空間で、原発が抱える課題や福島の復興、そこから見えてくる日本の課題を、多くの人々、とりわけ若い学生たちとともに考えていくための機会も創出します。

作品「南三陸の黄金」について

震災から一年半経過した被災地の現状を描く為に、2012年9月に南三陸町を訪れました。津波により町のほとんどが消失して、建築物の基礎などの瓦礫だけが残り、それを生い茂った雑草が覆い隠していました。町の中心だったと思われる場所にぽつんと立つ、鉄骨だけになった防災庁舎の内部の空洞と、ひとつの町がごっそりとなくなった空洞感。この2つの物理的な消失が重なり合い、作品のイメージができあがっていきました。夕焼けの光りを受けて一面が黄金に輝いている状景に、この土地本来の美しさと、故郷再生への希望を表現した作品です。                 (「かさねがさねの想い2」より転記)

作家「加川広重」プロフィール

1976年宮城県蔵王町生まれ。2001年武蔵野美術大学油絵科卒業。2003年より大画面の水彩画の制作を始め、せんだいメディアテークなどで「加川広重巨大水彩展」を計10回開催。2009年に仙台天文台で巨大な星座図を発表。2012年に改訂された宮城県造形連盟著「美術資料集」に作品掲載。震災後は2011年6月にチャリティー作品展を開催し、売上金全額の約23万円を寄付。2012年1月に「雪に包まれる被災地」を発表。2012年8月には、同絵画を舞台背景に様々なアーティストが震災への想いを表現するイベント「かさねがさねの想い」を主催。平成24年度宮城県芸術選奨新人賞受賞。