対話展・2013

私は、泥と鉛筆で土の中の根を描く。土の色彩は、絵具のように目を引く発色ではないけれど、色が無いと思っていた土の世界で、その色を目にした時、絵具では感じられなかった生の色の美しさと、驚くほどに多様な色の存在を知る事ができる。根は、その土の中で、人類が生まれる遥か昔から、地球上に存在してきた植物と共に生きてきた。現在、私達が忘れてしまった強い生命力と、太古からの記憶を持ち、今も変わらず土の中で根を張り、植物を支えている。今と昔を繋ぎ、見えない所で伸びる根が、私達の心の中にも存在するのではないだろうか。悲しみという逆境の中でも、その世界をイメージする事で、それはより強く、確実な心の支えとなるだろう。見えない世界が見える世界を支えている。日々の生活が積み重なり、ひとつの人生を創る。そして何かをイメージし、生活していくことが人生だと思う。私の絵の中の根の役割は、生活と人生・日常と魂を繋ぐ事にある。それらのふたつの世界がひとつになる世界を、描きたい。   毛利そよ香

学生時代は陶芸を専攻、油画抽象を経て、今は〝土の中の根を描く〟。それも捩れ、絡み、漲らせる根を執拗に描き込む、泥と鉛筆で、全ては自然に生じ自然に戻るものを心と一体となった手が追う。根源的ということを直截に示す。それは魂を掘ることであり、そこから生れる自らの今を問うことでもある。期待の作家のデビューである。

島田 誠

◆1F deuxにて 12:00-19:00
*火曜日は-18:00、最終日は-16:00まで。

■会場の様子 ※画像をクリックすると拡大して表示されます。

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